前提

ロゴデザインはシンボルマークの有無にかかわらず、デザイン全体を指す言葉です。シンボルマーク付きロゴデザイン、文字ロゴデザインのみといった言葉で表現されます。

シンボルマークの有効性

なぜ時間と手間をかけてまでしてシンボルマーク付きのロゴを作成するのか、それはそのほうが目立つからです。様々なサービス/ブランドが乱立する中、目立つことは正義です。シンボルマークが特に向いているケースとして、文字だけでは内容が伝わりづらいサービス補足説明として、複数のビジネス領域を横断する企業体のコーポレートシンボル(求心性)として、ジョイントベンチャーなど2つの企業を統合させるシンボルとしてなど要件に応じて様々な利点を挙げられます。また最近ではアプリアイコンなど権利化を要求されるタッチポイントもますます増えており、シンボルマークの有効性は非常に高いです。

商標のみ取得のケース

日程あるいは費用等の観点からシンボルマークを作らない文字ロゴだけのご依頼も多いです。この場合、文字に特徴をつけるか他社商標を侵害しないであろう一般的加飾を行いデザインするという手法を取れます。コミュニケーションデザインの手法は様々あるとはいえ、誰も知らないロゴを、一般的フォントで組み合わせただけでは目立ちにくくコミュニケーションデザインの観点では不利であると考えます。例えばアルファベットのロゴであれば、どれか一文字に印象的特徴をつけてみましょう。デザインの工夫次第で、シンボルマークに負けない個性も創り出せます。


権利化できないもの、とは言っても

アルファベット1文字をそのまま、自社の排他的シンボルマークにすることは非常に難しいです。そこには新規性がないからです。では極論として、誰も権利化できないなら使っても問題ないでしょと考えがちですが、それはあまりにも乱暴です。何かしらのデザインの工夫で権利化に成功する、あるいは違う図形であるが、印象としてそのアルファベットに見えるということもありえるからです。シンボルマークを使用するのであれば安全なものを。

シンボルマークと文字ロゴ

個性的シンボルマークができたら、文字ロゴはシンプルなものにしましょう。個性に対し文字ロゴは読みやすさを優先するのです。クライアントがデザイナーさんであった場合、文字ロゴもデザインしてくださいと言われることがあるでしょう。その時のために文字デザインを学んでおく必要があります。

文字デザイン

フォントデザインともなると、ソフトウェアの準備など必要となりますが、アルファベット自体はルールを学べばある程度作成可能です。作ったことがない方には小林章さんの著書「欧文書体のつくり方」をお勧めします。

フォントトレンド2021

現在流行のフォントはDINです。かっちりしていながらも優しくニュートラルな雰囲気があります。Avant Gardeもよく使います。読みやすい文字とは、いつも見ている文字です。ITオリエンテッドな現在ではGoogle、Appleのフォント動向も忘れず確認しましょう。

アイデアは熟成しないと出てこない

シンボルマークの独創的デザイン、文字の面白いアイデアが無尽蔵に頭から生まれてくるわけではないのに、デザイナーは受注から2週間ほどである程度のデザインを提案する必要あります。これにはアイデアを生み出すトレーニングと、ジンクスにも似た自分なりのメソッド確立が必要です。私は案件を受注した日は必ず30分でもいいから、そのデザイン作業をし案件の性格と難易度を体感するようにしています。他にも私なりのメソッドがありますが、恥ずかしいので秘密にしておきます。

錯覚・錯視

デザインの精度を高めるためには、錯覚・錯視の知識が必須です。有用なものをお伝えします。「ミューラー・リヤー錯視」「フィック錯視」「ポッゲンドルフ錯視」「ジャストロー錯視」「オッペル・クント錯視」「ヘルムホルツ錯視」「デルブーフ錯視」「エビングハウス錯視」等。
私の大好きな錯視はザンダー錯視です。基本的にはモノクロの幾何学的錯視の知識だけで十分かと思います。

カラーリング

色は案件の性格から割り出せるものですが、最初は深く考えなくていいと思います。得意な色で始めましょう。まずは形のバリエーションを増やすことが大事です。CMYKで作成するのが基本です。


ロゴガイドライン

ロゴデザインが終わる前に、ロゴの運用方法を再確認しましょう。ガイドラインとしての完成形を想定できていれば、ロゴデザインに余計なバリエーションを増やさないで済みます。ロゴガイドラインを細かく厳しく作るのは簡単ですが、良いガイドラインは少し余白があり運用に問題のない範囲内でクリエイターの自由度が確保されているものです。

反転してみましょう。

形に行き詰まったら、図形を反転してみましょう。色をガラッと変えてみるのもいいし、丸とか四角の図形の中に白抜きで入れてみるのもいいと思います。見え方が変わってひらめきが生まれるかもしれません。

予期せぬ形

良い形が常にロジカルに生成できればデザインは楽ですが、そんなに甘くありません。アドビイラストレーターのシアーツール、リシェイプツール、うねりツール、膨張ツールなど使って作った図形をビヨーンってやってみてください。頭で考えられる図形を超えた面白い形が見つかるかもしれません。


黄金比

シンボルマークデザイン、文字デザインの過程において、黄金比率を使える場面は多いです。
1:1.618の長方形の図形の比率感を一度覚えておきましょう。体得できれば微妙なサイズ調整での悩みが減り業務効率が上がります。

プロジェクト進行

どのデザイン業務も同じですが、クライアントと歩調を合わせましょう。デザインはクライアントと一緒に作っているのです。デザイン提案の資料は毎度デザインの経緯をおさらいする項目を足しましょう。どういった経緯で現在のデザイン案が選定されているか、メンバー全員納得している必要があります。「やっぱり最初のデザインで」ということはあり得ないのです。

Helveticaの秘密

Helvetica Neueフォントには他とは違う、明らかな特徴があります。フォントを調べてみるのも面白いです。


ラフデザイン

最初に作ったラフデザインは勢いがあって良いデザインだったりするものです。データは時系列で保護してあとで参照できるようにしましょう。

シンボル vs 文字

シンボル化した方が目立つ、けれども文字の方が伝わりやすい。というわけでシンボルにシンプルな文字デザインを組み合わせるのがベストと考えますが、アプリアイコンの場合は少し違う視点が必要です。有象無象、さまざまなアイコンが個性を主張するアプリアイコンのデザインではいかに信頼性を担保するのかが重要となります。2021年現在、私はシンプルな文字ロゴベースのアイコンをお勧めします。

RGBカラー

RGBカラーは画面上で美しく鮮やかで見栄えが良いのですが、明るくなりすぎるので注意が必要です。ある程度色の方向性が決まったら、一度モノクロにして明度を確認しましょう。モノクロでも良いデザインであればそれは成功しています。

無限大マーク

無限大/インフィニットをシンボルマークにするのは類似がたくさんあるので難易度が高いです。瑕疵担保責任のある契約書化で単純な無限大シンボルマークを提案するのは危ないです。形状を複雑化したり、一部を加工するか、特殊な形状に入れ込むとか手法はいくつかあると思いますが、そもそもコンセプトをやり直した方がいいでしょう。誰でも考えつく、ありふれたコンセプトです。

集中力とクリエイティブ

集中力は長く続きません。でも良いものを作るに呼吸を忘れるほどの集中力が必要。集中力を作り出す自分なりの儀式(ジンクス)を作りましょう。
お気に入りの曲でも、犬の散歩でもなんでもいいと思います。

DIN

今はDIN書体使っておけば無難でしょうね。文字スペース多めにして、小さな文字で使うと最高。嫌いな人はあんまりいないと思います。
万能ではないですよ。無味無臭って感じではなくって少し柔らかいめの個性あります。ロゴデザイン案にも当然織り交ぜますが、意外と採用されない。広告の時代感には適合しているのでしょうけど。

アイコンデザインとシンボルマーク

アイコンデザインとシンボルマークデザインは目指すべき効果が少し違います。アイコンは機能性優先で分かりやすさや汎用性が求められます。
反して、シンボルマークに求められることは端的に言えば目立つこと。とはいえ、複雑な機能をわかりやすく伝達するためのシンボルマークってものありえますけど、説明的すぎるシンボルマークって魅力ありますかね。

シンプルなロゴデザイン

フラットデザインの流れからのシンプルロゴデザインがいいという風潮がありますが、ブランド投資効果として目的達成できるのかよく考えましょう。
誰も知らないスタートアップ企業が新規事業を新名称で目立たないシンプルなロゴデザインで実行するのってハンデ大きいです。ロゴデザインの話だけではないですが、目立った方がいいでしょう。

デザインリサーチ

自分の得意分野を定めるのは日常的デザインリサーチの幅を絞り効率化するためです。すべてのことに強い専門性を担保する必要はありません。
得意分野を決めたら日常的に情報収集します。というか情報は集まってくるものです。

アルファベットへの加飾はほどほどに。

例えばDOORというアルファベットのロゴを作るとして、Dの文字に扉つけちゃうとすごくカッコ悪いと思います。発想が安易ということもありますが、Dの文字が読みにくいのが問題だと思います。日本人デザイナーであれば「ドア」の「ド」が扉になってたら変だと思うでしょう。別の視点ではDOORを伝達するのに、文字をすんなり読ませること以上に伝達する内容があるのか。欧米圏視点での嫌悪感を意識しましょう。

アイデアが出ない時

遊びましょう。
美味しいもの食べましょう。
リラックスしましょう。

Font作成ソフト

FontLab使ったことありますか?フォント作るソフトなんですけど、文字のリシェイプとかもできて便利ですよ。
必要最小限のアンカーポイントで水平・垂直ハンドルが基本です。細かく沢山のアンカーポイントを打って形を作ると取り回しも悪いし、ラインも美しくないです。

図形の類似調査

シンボルマークを商標登録するために類似調査をしますが、調査に引っかかることないスムーズな進行のためにもマークの構成要素を複雑にしておきましょう。「円」と「三角形」が「立体的」に組み合った形など、構成要素は3つ以上であるべきです。


デザインの方向性

どのようなデザインテイストでも要望に合わせて作り分けることができますが、結局自分が好きな感じにまとまります。そういうものです。

商標登録図形

時間があれば、特許情報プラットフォームなどで登録さえている図形を眺めてみましょう。
平面的ロゴが多いことに気がつくでしょう。立体的、空間的ロゴの方が登録性が高いと言えます。


ロゴガイドライン

今時はタウンページみたいな分厚いガイドライン作ったりしません。細かく緻密に規定してお金を稼ぐという時代感ではないということです。見やすく、分かりやすく、効率的で簡潔なガイドラインを目指しましょう。A4横で20Pも必要ないと思います。

ロゴのアイソレーションゾーン

ガイドラインをどれだけ簡潔にしたとしても、最低限必要になってくるのがアイソレーションゾーン(隔離範囲)の規定でしょう。1/2H(文字高の1/2範囲)の書き方は古いです。a≥HでHを規定しH以上とするのがいいでしょう。規定するHはロゴのデザインの中にある文字かエレメントを使って規定してあげることで目測でも簡単にアイソレーションゾーンが認知できるようにするとスマートです。≥は日本語記号だと≧が出ると思いますがHelveticaなどから≥の方を使ったほうがおしゃれです。

色数値

ロゴができたら、数字を整えましょう。
C 54.32%とかってカッコ悪いです。
C 55%でいいし、なんなら50%か60%にしちゃってもいいと思います。ついつい忘れちゃうのが、グラデーションですね。グラデーションスライダーで位置もビシッと決めましょう。

日々修正、日々加筆